20s

壁に話しかけるような感じで

三つの生活

親族が病気になり、入院し、葬儀を終えてしばらく経った。

その間の私の生活は驚くほどシンプルだった。

一日に、顔を洗ったり布団をたたんだりといった「日課」と、「仕事」と、お見舞いや家族のサポートのような「手伝い」の3種類の時間帯しかなく、この3つだけをやって一日が終わっていった。

これで十分なんだ、今までも、これからも、という気がなんとなくその時はした。

親と祖父母に育てられ、大人になり、こんどは親と祖父母の世話をしてやる、これこそ何よりも先にやるべきことなんじゃないか、とも思った。親を幸せにできなくて何が自分の幸せなんだ、とか。

突然なことが起こってもジタバタしないように、生活の中にうわついたおかしな点を作らないで暮らしていきたい、とも思った。