春と言ったら萩原朔太郎
「春は遠くからごむ輪のくるまにのつて来る。」
「かずかぎりもしれぬ虫けらの卵にて、
春がみつちりとふくれてしまつた、
げにげに眺めみわたせば、
どこもかしこもこの類の卵にてぎつちりだ。
桜のはなをみてあれば、
桜のはなにもこの卵いちめんに透いてみえ、」……
私は桜の花のことが少し気持ち悪くて、
それは「みつちり」としているからで、
この詩のとおり、ぎっしりと並んだ虫の卵をふと連想してしまうからだ。
「春は遠くからごむ輪のくるまにのつて来る。」
「かずかぎりもしれぬ虫けらの卵にて、
春がみつちりとふくれてしまつた、
げにげに眺めみわたせば、
どこもかしこもこの類の卵にてぎつちりだ。
桜のはなをみてあれば、
桜のはなにもこの卵いちめんに透いてみえ、」……
私は桜の花のことが少し気持ち悪くて、
それは「みつちり」としているからで、
この詩のとおり、ぎっしりと並んだ虫の卵をふと連想してしまうからだ。